束の間のロック野郎
昨日ツアーから戻った。その途端パパの生活が復活だ。
地方にいたときは、ライブやって打ち上げして酔っぱらってりゃ一日が過ぎていったのに。
ただ、一週間振りに再会した娘が大きくなってた。
これはうれしかったな。
ロックと父性の狭間で揺れてるぜ。
昨日ツアーから戻った。その途端パパの生活が復活だ。
地方にいたときは、ライブやって打ち上げして酔っぱらってりゃ一日が過ぎていったのに。
ただ、一週間振りに再会した娘が大きくなってた。
これはうれしかったな。
ロックと父性の狭間で揺れてるぜ。
毎晩うちの嫁さんに電話してるんだけど、声のトーンが日に日に暗くなっていく。メールもしてみても、返信が帰って来るまでに半日かかる。
大丈夫かな、あいつ。
父親になると、ツアーに出て地方にいても家族のことが気にかかる。勝手気ままだったバンドマンにも家長としての自覚が芽生えたってことか。
やっかいな心配事は頭の隅にしまっておいて、今晩の福岡のライブを楽しみたいもんだ。
今朝うちの嫁さんからメールが届いた。娘の夜泣きがひどくてぜんぜん眠れないそうだ。
電話してみたが、重たい沈黙ばかりで会話が続かない。
俺は広島。嫁さんは東京。
俺に何かできることはあるか?今夜もライブだっていうのに憂鬱だぜ。
メンバーと一緒に大阪のホテルに泊まっている。
バンドがツアーに出たんだ。昨日はライブが終わってから夜中の三時過ぎまで打ち上げ。
まだ眠いのに毎朝鳴らしている携帯の目覚ましを切るのを忘れてて、6時半に起こされた。いつもなら朝メシを作る時間だ。
娘がうまれてから初めての外泊。嫁さんと娘に会えないのは正直言ってさびしい。
一方で、夜泣きやおむつ替え、食事の準備など家庭の雑事から解放されて自分の思い通りのペースで生活できるのは自由で快適だ。
ライブやって対バンした奴等と酒飲んで騒ぐのも最高に楽しい。
今ごろ娘の世話を一人でしているうちの嫁さんのことを考えるとちょっと悪い気もする。
でも家事をこなしたりバイトしたりと家庭のためだけに生活する毎日じゃあ息が詰まってくる。やっぱりバンドマンとしてロックしてないと俺はだめなんだ。
今日は神戸でライブだ。ツアーはまだまだ続くぜ。
本日は晴天なり。
朝方はかなり冷え込んでたが、昼ごろからかなり暖かくなってきた。
一か月検診で先生のO.K.も出たことだし、イッチョ散歩にでも行くか。
うちの嫁さんと娘をベビーカーに乗せて近くの公園目指して出発した。
ちょうど一週間前はレンタカーでドライブに出かけたが、ベビー『カー』だけに、今日もある意味ドライブと言っていいのだろう。
明るい太陽の下を三人で歩いていると、絵に書いたような「日曜日の家族」だ。
今から10年ちょっと前、23歳で上京したばかりの頃とはえらい変わりようだ。
月曜から土曜までびっちりバイト。唯一の休みの日曜日は昼ごろバンドでスタジオに入り、とっとと練習を切り上げて三時にはメンバーと飲み屋に入ってた。
気がつくと終電ぎりぎり。翌日はもちろん二日酔い。八時間ぶっ通しで飲んでりゃ当たり前だ。
あの日の「飲んだくれ」は「サンデーパパ」に。
正面から見れば幸せそうな笑顔の俺。でも背中にはちょっと切なさもにじんでるかな。
今から寝酒でも飲むか。ちなみにこれが今日の一杯目だぜ。
深夜三時、隣りの部屋から聞こえる娘の泣き声で目が覚めた。
襖を開けると、うちの嫁さんは半身を起こしているものの、眠気で朦朧とした様子。
「パパが今行くよー」とやわらかく声を掛けながら駆け寄って、おむつをチェックする。
紙おむつに付いているおしっこチェッカー。しめると黄色から水色に変わってお知らせしてくれる。
バッチリ水色に変わってる!よし、おむつ交換だ。
娘が生まれた当初はモタモタ・オロオロと、なかなか換えられなかった。交換中におしっこが飛んで来たこともあった。
今じゃあサササッと手際もよくなって、20秒もあれば完了だ。
これまでに100回だか200だか、数え切れないくらいやってるんだから、いくらロッカーでも上達するぜ。
今夜はラッキーなことに起こされたのはこれが初めて。
日曜日の朝だ、もう少し眠らせてもらうぜ。
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昨日はうちの嫁さんと娘の一か月検診で、俺も付き添って病院に出かけてきた。
診察の結果、先生からは母子共に健康だと太鼓判を押され、おまけに「上手にお子さんをお育てですよ」と褒めてもらった。
うちの嫁さん、その一言を聞いて、ものすごくうれしそうだった。
「二時間ごとにあげてるんですけど、おっぱいのやりすぎじゃないでしょうか」
「息をするとヒーフーのどが鳴るんです。大丈夫でしょうか」
助産婦さんに子育ての疑問や不安を話す時間もあった。
ほんと言うと、俺が相談をしたかった。
俺はおっぱいも出ないし、だっこしても娘は泣きやまない。嫁さんは休む間もない子どもとの一対一の生活がかなりつらそうだ。
役立たずの俺に何ができるでしょうか?教えて下さい、ってね。
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うちの娘はだっこじゃなきゃ寝ないんだ。
Why?
腕の中ですやすやと寝息を立てはじめ、よし、ちょっとトイレにでも行ってこようかとベビーベッドに寝かせた途端に目を覚まし、「オギャー」と号泣する。
うちの嫁さんと俺は、朝から晩までラグビーの試合のように娘をパスしあっている。
さっきパソコンをいじっていたら、左の肩甲骨のあたりから首筋にかけてビリビリッと電気が流れるように激痛が走った。この痛み、連日のだっこが原因に違いない。
身長170cm、体重52kgの華奢なこの身体。娘の体重はわずか3kgたらずとはいえ、筋肉疲労がたまったようだ。
それにしても、なんでだっこじゃなきゃ寝ないんだろうか。肩も痛いが、頭も痛いぜ。
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なんじゃこりゃ!?
店内でベビーカーが渋滞してるぜ。
部屋に閉じこもった生活と、夜泣き相手の睡眠不足が重なって、日に日に表情がくもりがちになっていったうちの嫁さん。
身体をマッサージしたり、好物のケーキを買って帰ったりと、俺なりに手は尽くした。
だが、ストレスが臨界点に達し、「もう疲れちゃった」と最悪の一言漏らした。
こりゃいかん、気分転換させないと!
というわけで、レンタカーを借りて嫁さんが大好きなショッピングに出かけることにしたのだ。
行く先はベビー用品の専門店、アカチャンホンポ。
久しぶりの外出とあってウキウキの嫁さん。店に着くやいなや娘を俺に抱かせ、ベビーカーがごった返す店内をワゴンを押してさっそうと歩いていった。
おむつだ、おしりふきだなんだかやと、車のトランクいっぱいのお買い物をして、ごきげんになった。
帰りにマクドナルドに寄って大好物のダブルチーズバーガーにLサイズのポテトをたいらげたら、見事に笑顔が復活した。
ふ―っ。なんとか危機を脱出したぜ。
一か月検診もまだだったから、嫁さんの体力や、娘が病気をもらったりしないかとかなり心配したが、二日たった今日もピンピンしてる。
嫁さんが復活して安心したぜ!
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子どもが生まれると、家族や親戚、友人からたくさんお祝いの言葉や品物をもらった。
娘の退院の日、病院から乗ったタクシーが信号待ちをした時、すぐ横にあった美容室のウィンドーから美容師さんたちが、嫁さんの腕に抱かれた小さな娘に笑顔で手を振ってくれた。そんなハッピーな出来事もあった。
実は、めでたいことだと手放しで喜んでばかりもいられなかった。
バンドのメンバーと所属レーベルから、進退を迫られたのだ。
子どもを育てながら、ロックなんかできるのか、おまえは?ってことだ。
別に子持ちになった俺が邪魔になりクビにしたいわけではなく、純粋に俺や家族のことを心配してくれたのだ。
「メンバーとしてこれからも一緒にバンドをしたいけれど、友達としては安定した収入のないバンドマンを、家族のできたお前には薦められない」
メンバーからの言葉だ。
正直悩んだ。いや、今も少し悩んでる。
でも、子どもができたからって急に自分の生き方は変えられない。
生まれたばかりの娘に、「父ちゃんはお前のためにバンドを止めたんだ」なんて重たい十字架は背負わせたくない。
だからさ、俺は頑張るんだよ。
これまでの自分を大切にしながら、家族を守りながら、新しい道を切り開いて行くんだよ。
周りにはなかなか理解されない事も多いだろう。そんなことはバンドやってていくらでも経験したことだ。
ずっと夢を食って生きてきた俺だ。やっぱり夢は捨てられないんだよ。
もうすぐ娘が生まれてから一か月がたつ。娘の人生も、そして俺の人生もまだまだこれからなんだ。
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早朝5時半、娘の元気な声で目が覚めた。
昨夜は下北沢のスタジオで深夜三時までバンドのリハーサルがあった。帰宅してベッドに潜り込んだのは4時すぎだ。
まだ1時間ちょっとしか寝てない!
うんちいっぱいのおむつを取り替えたら泣きやむかと思いきや、まだ涙が止まらない。
だっこして立ち上がり、あやしたり子守歌を歌ってみるがどちらも効果なし。
唇に指を持って行くと、ちゅぱちゅぱとものすごい吸引力。
おむつですっきりの次はおっぱいをご所望のお姫さま。朝ごはんだ。
連日の夜泣きで寝不足のハニーをしぶしぶ起こす。
そんなこんなしているうちにもうすぐ7時だ。バイトに行く時間が迫る。
ああ!眠いぜ。
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俺はパパになりたてだ。先月の半ばに待望の女の子を授かった。
昨日は初節句。男二人兄弟で育った俺には全く縁がなかった雛祭り。
まさか自分が花屋に桃の花を買いに走り、スーパーで雛あられをゲットするなんて、夢にも思っていなかった。
俺の名はタロー(コードネーム)。
大学を卒業後、プロミュージシャンを目指し、単身上京して今年で12年になる。
現在はインディーズのロックバンドでCDをリリースしたり、下北沢や渋谷あたりのライブハウスで毎月ライブをやっている。
いわゆるバンドマンというやつだ。
子どもがうちのアパートにやって来てほんの二週間。毎日の生活にはうれしいこと、楽しいことがいっぱい増えた。
が、反面、大変なこともおまけでくっついてきた。
「親」になるには、これまでみたいに勝手気ままにバンドマンやってるだけじゃダメなようだ。
父親になってみて、自分の胸に生まれてきた様々な思いを書いてみたいと思う。
うちの嫁さんにだって、メンバーにだって、話すことのできない内緒の話ばかり。
なのでコードネームにて失礼。
お時間ある方、お付き合いのほどよろしく!
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